【DS-003】逆行列

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【DS3】逆行列の定義および逆行列を求めることにより行列表記された連立方程式が解けることを理解している

逆行列

解説

逆行列とは、行列 \(A\) に対して次の条件を満たす行列 \(A^{-1}\) のことです:

\[
A \cdot A^{-1} = A^{-1} \cdot A = I
\]

ここで、\(I\) は単位行列を表します。

逆行列は正方行列で、行列の行列式が \(0\) でない場合にのみ存在します。

具体例

例えば、次の \(2 \times 2\) の行列 \(A\) の逆行列は次の式で計算できます:

\[
A = \begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix}, \quad A^{-1} = \frac{1}{\det(A)} \begin{bmatrix} d & -b \\ -c & a \end{bmatrix}
\]

ただし、行列式 \(\det(A)\) は:

\[
\det(A) = ad – bc
\]

連立方程式

解説

連立方程式とは、複数の未知数を含む複数の方程式の組を指します。

具体例

例えば、次の2つの方程式を考えます:

\[
2x + 3y = 8, \quad 4x + 5y = 18
\]

これを行列表記で表すと:

\[
\begin{bmatrix} 2 & 3 \\ 4 & 5 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 8 \\ 18 \end{bmatrix}
\]

逆行列の算出により行列表記の連立方程式を解く

解説

行列表記で表された連立方程式を解くためには、逆行列を用います。

行列方程式:

\[
A \vec{x} = \vec{b}
\]

ここで、\(A\) は係数行列、\(\vec{x}\) は未知数ベクトル、\(\vec{b}\) は定数ベクトルです。

逆行列 \(A^{-1}\) を用いると、解 \(\vec{x}\) は次のように求められます:

\[
\vec{x} = A^{-1} \vec{b}
\]

具体例

具体例として、以下の行列方程式を解きます:

\[
\begin{bmatrix} 2 & 3 \\ 4 & 5 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 8 \\ 18 \end{bmatrix}
\]

まず、係数行列 \(A\) の逆行列を計算します:

\[
A^{-1} = \frac{1}{\det(A)} \begin{bmatrix} 5 & -3 \\ -4 & 2 \end{bmatrix}, \quad \det(A) = 2 \cdot 5 – 3 \cdot 4 = 10 – 12 = -2
\]

\[
A^{-1} = \frac{1}{-2} \begin{bmatrix} 5 & -3 \\ -4 & 2 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} -2.5 & 1.5 \\ 2 & -1 \end{bmatrix}
\]

次に、\(\vec{x} = A^{-1} \vec{b}\) を計算します:

\[
\vec{x} = \begin{bmatrix} -2.5 & 1.5 \\ 2 & -1 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 8 \\ 18 \end{bmatrix}
\]

計算結果:

\[
\vec{x} = \begin{bmatrix} (-2.5 \cdot 8) + (1.5 \cdot 18) \\ (2 \cdot 8) + (-1 \cdot 18) \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} -20 + 27 \\ 16 – 18 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 7 \\ -2 \end{bmatrix}
\]

したがって、解は:

\[
x = 7, \quad y = -2
\]

 

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