DS検定リテラシーレベルの出題範囲である203個のスキル(DS協会制定)
【DS2】行列同士、および行列とベクトルの計算方法を正しく理解し、複数の線形式を行列の積で表現できる
行列
解説
行列とは、数値を縦と横に整列させた「表」のような構造です。
具体例
行列は以下のように表されます:
\[
A = \begin{bmatrix} a_{11} & a_{12} & \cdots & a_{1n} \\
a_{21} & a_{22} & \cdots & a_{2n} \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
a_{m1} & a_{m2} & \cdots & a_{mn} \end{bmatrix}
\]
ここで、\(a_{ij}\) は行列の要素を指し、\(m\) は行数、\(n\) は列数を表します。
正方行列
解説
正方行列とは、行数と列数が等しい行列のことです。
具体例
例えば、次の行列は \(3 \times 3\) の正方行列です:
\[
B = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 4 & 5 & 6 \\ 7 & 8 & 9 \end{bmatrix}
\]
要素(成分)
解説
行列の各位置にある値を「要素」または「成分」と呼びます。
具体例
例えば、次の行列:
\[
C = \begin{bmatrix} 3 & 4 \\ 5 & 6 \end{bmatrix}
\]
では、要素 \(c_{11} = 3\)、\(c_{12} = 4\)、\(c_{21} = 5\)、\(c_{22} = 6\) です。
ゼロ行列
解説
すべての成分が \(0\) の行列をゼロ行列と呼びます。
具体例
例えば:
\[
O = \begin{bmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 0 \end{bmatrix}
\]
単位行列
解説
単位行列とは、対角成分が \(1\)、それ以外の成分が \(0\) の正方行列です。
具体例
例えば:
\[
I = \begin{bmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{bmatrix}
\]
行列にスカラーをかける
解説
行列にスカラーを掛ける操作では、行列のすべての要素にスカラーを掛けます。
具体例
例えば:
\[
k \cdot \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} k \cdot 1 & k \cdot 2 \\ k \cdot 3 & k \cdot 4 \end{bmatrix}
\]
行列同士の和
解説
行列同士の和は、対応する要素同士を足します。
具体例
例えば:
\[
A = \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{bmatrix}, \quad B = \begin{bmatrix} 5 & 6 \\ 7 & 8 \end{bmatrix}
\]
行列の和は:
\[
A + B = \begin{bmatrix} 1+5 & 2+6 \\ 3+7 & 4+8 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 6 & 8 \\ 10 & 12 \end{bmatrix}
\]
行列とベクトルの和
解説
行列とベクトルの和は、行列の各行とベクトルの対応する成分を足します。
具体例
例えば:
\[
A = \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{bmatrix}, \quad \vec{b} = \begin{bmatrix} 5 \\ 6 \end{bmatrix}
\]
和は次のように計算されます:
\[
A + \vec{b} = \begin{bmatrix} 1+5 & 2+5 \\ 3+6 & 4+6 \end{bmatrix}
\]
行列同士の差
解説
行列の差は、対応する要素同士を引きます。
具体例
例えば:
\[
A = \begin{bmatrix} 8 & 7 \\ 6 & 5 \end{bmatrix}, \quad B = \begin{bmatrix} 3 & 2 \\ 1 & 4 \end{bmatrix}
\]
計算結果は次のようになります:
\[
A – B = \begin{bmatrix} 8-3 & 7-2 \\ 6-1 & 5-4 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 5 & 5 \\ 5 & 1 \end{bmatrix}
\]
行列とベクトルの差
解説
行列とベクトルの差は、行列の各行からベクトルの対応する成分を引きます。
具体例
例えば:
\[
A = \begin{bmatrix} 8 & 7 \\ 6 & 5 \end{bmatrix}, \quad \vec{b} = \begin{bmatrix} 2 \\ 4 \end{bmatrix}
\]
計算結果は次のようになります:
\[
A – \vec{b} = \begin{bmatrix} 8-2 & 7-2 \\ 6-4 & 5-4 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 6 & 5 \\ 2 & 1 \end{bmatrix}
\]
行列同士の積
解説
行列同士の積は、左の行列の「行」と右の行列の「列」を掛け合わせて計算します。
具体例
例えば:
\[
A = \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{bmatrix}, \quad B = \begin{bmatrix} 5 & 6 \\ 7 & 8 \end{bmatrix}
\]
積は次のように計算されます:
\[
A \cdot B = \begin{bmatrix} 1 \cdot 5 + 2 \cdot 7 & 1 \cdot 6 + 2 \cdot 8 \\
3 \cdot 5 + 4 \cdot 7 & 3 \cdot 6 + 4 \cdot 8 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 19 & 22 \\ 43 & 50 \end{bmatrix}
\]
行列とベクトルの積
解説
行列とベクトルの積は、行列の「行」とベクトルを掛け合わせて計算します。
具体例
例えば:
\[
A = \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{bmatrix}, \quad \vec{b} = \begin{bmatrix} 5 \\ 6 \end{bmatrix}
\]
計算結果は次のようになります:
\[
A \cdot \vec{b} = \begin{bmatrix} 1 \cdot 5 + 2 \cdot 6 \\ 3 \cdot 5 + 4 \cdot 6 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 17 \\ 39 \end{bmatrix}
\]
複数の線形式を行列の積へ変形する
解説
複数の線形式を行列の積に変形する場合、各線形式の係数を行列の成分として並べます。
具体例
例えば:
\[
f_1(x) = 2x_1 + 3x_2, \quad f_2(x) = 4x_1 + 5x_2
\]
これらを行列の積に変形すると:
\[
\begin{bmatrix} f_1(x) \\ f_2(x) \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 2 & 3 \\ 4 & 5 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} x_1 \\ x_2 \end{bmatrix}
\]
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