今回の学習ターゲット
【DS1】ベクトルの内積に関する計算方法を理解し、線形式をベクトルの内積で表現できる
こんにちは。塾長の鬼MARUです。
今回はベクトルの内積と線形式について学びます。
特に、データサイエンスに関係する応用を考えながら進めていきますね。
数学が少し苦手でも大丈夫です。一緒にゆっくり取り組みましょう 。
1. ベクトルとは?
ベクトルとは、**向き**と**長さ**を持った数学的なオブジェクトです。
例えば、位置や速度を表すのに便利です。ベクトルの基本的な用語を確認しましょう:
- スカラー:ただの数字のことです。例えば、3 や -5 など。
- 行ベクトル:横に並んだベクトル(例: \( \begin{bmatrix} 1 & 2 & 3 \end{bmatrix} \))。
- 列ベクトル:縦に並んだベクトル(例: \( \begin{bmatrix} 1 \\ 2 \\ 3 \end{bmatrix} \))。
- 要素(成分):ベクトルを構成する個々の値のこと(例:1, 2, 3)。
- ゼロベクトル:すべての要素が 0 のベクトル。
- 単位ベクトル:長さが 1 のベクトル(方向のみを表します)。
2. ベクトルの基本操作
ベクトル同士の基本的な操作を見てみましょう:
- ベクトルの和:2つのベクトルを足す操作。
例:
\[
\begin{bmatrix} 1 \\ 2 \\ 3 \end{bmatrix} + \begin{bmatrix} 4 \\ 5 \\ 6 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 5 \\ 7 \\ 9 \end{bmatrix}
\] - スカラー倍:ベクトルをスカラーで掛ける操作。
例:
\[
2 \cdot \begin{bmatrix} 1 \\ 2 \\ 3 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 2 \\ 4 \\ 6 \end{bmatrix}
\]
3. ベクトルの内積とは?
ベクトルの内積は、2つのベクトル間の「関係性」を表します。
次のように計算します:
2つの \( n \) 次元ベクトル \( \mathbf{a} \) と \( \mathbf{b} \) があるとき、内積は次の式で定義されます:
\[
\mathbf{a} \cdot \mathbf{b} = a_1 b_1 + a_2 b_2 + \cdots + a_n b_n = \sum_{i=1}^n a_i b_i
\]
例えば、次のような 3 次元ベクトルを考えます:
\[
\mathbf{a} = \begin{bmatrix} 1 \\ 2 \\ 3 \end{bmatrix}, \quad \mathbf{b} = \begin{bmatrix} 4 \\ 5 \\ 6 \end{bmatrix}
\]
内積は:
\[
\mathbf{a} \cdot \mathbf{b} = (1)(4) + (2)(5) + (3)(6) = 4 + 10 + 18 = 32
\]
内積は、2つのベクトルがどの程度「同じ方向を向いているか」を表す指標にもなります。
4. 線形式とベクトルの内積
線形式とは、ベクトルを入力としてスカラーを出力する関数のことです。
線形式を表すには内積を使います。例えば、ベクトル \( \mathbf{x} \) に対する線形式 \( L(\mathbf{x}) \) は次のように書けます:
\[
L(\mathbf{x}) = \mathbf{a} \cdot \mathbf{x}
\]
ここで、\( \mathbf{a} \) は定数ベクトル、\( \mathbf{x} \) は入力ベクトルです。
例として、次のような線形式を考えます:
\[
L(\mathbf{x}) = \begin{bmatrix} 2 \\ 1 \\ 3 \end{bmatrix} \cdot \begin{bmatrix} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{bmatrix}
\]
計算すると:
\[
L(\mathbf{x}) = 2x_1 + x_2 + 3x_3
\]
このように、線形式を内積として表現できます。
5. データサイエンスにおける応用例
ベクトルの内積は、データサイエンスで次のように使われます:
- 特徴量の加重平均:線形式を使って特徴量の重み付き合計を計算。
- 類似度の計算:内積を使ってベクトルの類似性を測定(例:コサイン類似度)。
まとめ
今日学んだ内容をまとめます:
- ベクトルは向きと長さを持つ。
- ベクトルの内積は、2つのベクトルの関係性を計算する操作。
- 線形式は内積を用いて表現される。